コラム

家族信託

家族信託に関わる税金とは?税金の種類と課税対象者について

相続というものは、近しい人が亡くなったショックもある中で、様々な諍いの元となるほか、税金の支払いなどの煩雑なことが重なっていくものです。この相続という問題を軽減させるための方法は様々ありますが、そのひとつとして家族信託をあげる人も多くいます。家族信託とはどのようなもので、どのような税金がかかわってくるのかを紹介します。

 

家族信託に関連する税金とは

 

財産を所有している委託者が受託者へと財産の所有権を譲り(信託し)、受託者が財産の管理・処分を行い受益者に利益を渡すという仕組みのことを信託といいます。この信託という仕組みは、多種多様な場面で活用されるものですが、中でも家族の中・家庭内で財産の管理をすることを目的として、家族の中から受託者を選んで行うものを家族信託といいます。家族信託では、所有する財産によって利益が生じているので、それにかかわる税金も発生します。ケースによって受託者、委託者、受益者にかかわる税金はそれぞれ異なるほか、それぞれの状態によってもかかる税金は変わるので、しっかりと知識を身に着けておくことが重要です。

家族信託にかかわる税金は、贈与税に相続税、所得税・法人税、譲渡所得税、登録免許税、固定資産税などです。なお、日本の税金は受益者主義なので、家族信託の場合は実際に利益を受ける受益者が払うことが中心となります。

 

受託者・受益者が課税対象になるケースとは

 

家族信託で、利益を受けるのは受益者のため、基本的に課税対象となるのは受益者です。特殊なケースを除いて委託者が課税対象となることはありません。受託者は、財産管理を請け負っているだけなので、基本的には課税対象となることはありませんが、信託された財産が不動産の場合は登録免許税と固定資産税がかかります。登録免許税とは、不動産の名義を変更する際にかかる税で、家族信託の場合は通常の5分の1程度に抑えられます。固定資産税とは、資産を保有している場合にかかる税金で、財産の名義人である受託者に通知が行きますが、おおよその場合は実質の所有者である受益者が負担することが多いです。

受益者にかかる税金は、受益者が委託者を兼ねているケースと受益者と委託者が異なるケースで異なります。受益者と委託者が同一の場合、受益者として支払う税金はありません。これは実質的には財産の移転が行われていないからです。受益者と委託者が異なる場合は、受益者が贈与税と相続税を支払う必要があります。委託者から受益者へと贈与が成ったとされるため、贈与税が発生するからで、こちらは相続税より高額です。受益者が死亡した場合、受益権は相続対象となるので、相続した相手が相続税を支払わなければなりません。

 

家族信託で節税はできる?その条件とは

 

家族信託を節税対策に使う人は多くいますが、すべての条件でできるわけではありません。受託人が信託された財産の整理・処分をすることでなすことができるものなので、委託人が認知症などにより判断能力が低下していることが条件となります。

家族信託でかかる税金を理解ししっかり準備しよう

 

家族信託とは、所有している財産の管理・処分を家族の誰かに委託するものです。財産の所有権や利益を受ける人が変わるため、相続税や贈与税などの税金がかかります。どのような税金がどれだけかかるかは、ケースによって異なり、場合によっては節税対策となることもあります。家族信託は便利な制度ではありますが、どのような状況でもメリットしかないわけではないので、制度内容を把握してしっかりとした準備が重要です。