コラム

相続家族信託

不動産相続トラブルを回避!家族信託のすすめ

親や兄弟などの近親者が亡くなった場合に、思いがけず不動産を相続する機会に出くわすことがありますが、あらかじめしっかりとした備えをしていないと思わぬトラブルの原因にもなりかねません。そこで以下では、不動産相続におけるトラブルについて見たうえで、それを避けるために取り得る方策について説明することにします。

 

不動産相続によるトラブルとは?

 

不動産相続においてトラブルになる事例には、主に不動産の分割方法について相続人間で揉めるケースと、不動産の評価額について意見が対立するケースの2通りがあります。まず一つ目のケースですが、不動産は金銭のように簡単に分割することができないものであることから、仮に被相続人の遺産に不動産があり相続人が複数存在している場合には、どのように分割するかで相続人間の意見がまとまらず収拾がつかなくなりがちです。もっとも簡単なのは、一人が不動産を承継し、残りの相続人がそれ以外の遺産を受け継ぐということですが、遺産の過半が不動産であるような場合には、それだと相続人の間で不公平さが残るため、全員の理解が得られずトラブルになるというわけです。

次に、二つ目のケースですが、不動産の価値の算定方法は複数存在しており、第三者の評価を取得するにしても、どのような算定方法を指定するかによって出てくる金額は異なります。そのため、相続人の間で使用する算定方法についてのコンセンサスが得られずにトラブルになるという事態が発生しがちです。

 

トラブルの原因を解決?家族信託とは

 

このようにトラブルに巻き込まれやすい不動産相続ですが、家族信託を用いることによってあらかじめトラブルを予防することが可能です。家族信託というのは、信託契約の一つで、遺産の所有者である被相続人が、親族などの信頼できる人物に対して生前に財産を託し、その人物が被相続人の死後にあらかじめ定められていた方法に従って、託された財産の管理や処分を行うという仕組みです。この家族信託を用いることによって、故人の遺志に基づいて確実に遺産である不動産の処分が行われることになりますので、相続人の間で無用なトラブルが発生する可能性をあらかじめ排除することができるという訳です。

 

家族信託の手続き方法って?お金はかかる?

 

家族信託を行うための手続きは、まず信託の目的を決めたうえで、信託契約を書面で作成し、それを公正証書にした後に、不動産の名義を受託者の名前に書き換えるという流れになります。契約書や公正証書の作成、不動産の名義変更など、詳しい法律の知識がないとなかなか難しい事項が含まれていますので、確実に実効性を持たせるためには、個人で処理するのではなく、弁護士や司法書士などの専門家に依頼して準備してもらうのがよいでしょう。なお、一連の手続にかかる費用ですが、専門家への依頼料に加えて、信託契約を公正証書化するために公証役場に支払う費用や登記変更を行うために発生する登録免許税などがあります。

トラブルを回避するためにも不動産相続はしっかりと!

 

以上で見てきたように、家族信託をうまく使いこなすことができれば、不動産相続についての無用なトラブルを事前に回避することが可能です。ある程度の費用はかかるものの、それによって相続人の間で余計な争いを避けることができ、相続人の死後も残された家族や親族が平穏に暮らすことができるということを考えると、そのメリットはコスト以上であるといえるのではないでしょうか。