コラム

家族信託

財産管理のかたち家族信託の仕組みやメリットとデメリットとは

相続は家族構成が変わるだけでなく大きな財産が分配されて動くため、残された遺族には大きな影響を及ぼします。その財産を管理する上で重要な制度として生まれてきたのが家族信託です。家族信託とは財産管理に際してどんな人が関わる制度なのでしょうか。その仕組みとメリットやデメリットについて簡単に理解しておきましょう。

 

どんな人が関わる?家族信託の仕組みとは

 

家族信託とは資産を家族に任せることで、資産を持っている人が法的に意志判断能力がないと認められてしまったときに財産を管理する方法です。特に相続対策としてよく用いられるようになっています。家族信託では委託者、受託者、受益者の三人が契約に関わるのが特徴で、財産を持っている人が委託者です。委託者が自分の財産の一部または全部を受託者に任せるという手続きを取り、その手続きによって財産を受け取るなどの利益を受けるのが受益者となります。家族信託ではこの三者が家族同士というのが基本で、父親が委託者、長男が受託者、次男と長女が受益者といった例を考えることが可能です。例えば、家は次男、現金資産のうち3000万円は長女に相続すると長男に告げて契約をすると、相続が発生したときにはこの形で遺産が分割されていくことになります。

 

家族信託のメリットあれこれ

 

家族信託は委託者にとっては自分の意志判断によって予め相続の仕方を決められるのがメリットです。配分の仕方が定められていない場合には受託者が受益者に対してどう信託財産を配分するかを決めることができます。このような形を整えることで親が認知症などになって判断ができない状況になってしまったとしても、状況に合わせて適切な遺産分割を行えることができるのが魅力です。資産凍結により運用できなくなることもないので、存命のうちから相続対策をすることもできます。

 

家族信託のデメリットとは

 

家族信託には直接的なデメリットはあまりありません。強いて挙げるなら税務申告が複雑になるため、多くのケースでは税理士や司法書士などに依頼して確定申告をすることになります。まだノウハウがあまり広まっていないことから具体的にどうしたら良いかを調べるのが難しいのもデメリットでしょう。

家族信託はメリットを活かしデメリットを理解して進めよう

 

家族信託は親が認知症などで意志判断ができないという状況になってしまっても、資産を家族で管理できるようにすることができる仕組みです。本人も資産を任せても良いと言える信頼できる家族を受託者として指名することができます。税務申告の手間がかかるなどのデメリットはあることも念頭に置きつつ、メリットを最大化できるように活用を検討してみましょう。